- 長谷川 誠 教授
常温での固相粒子衝突による超高温耐熱セラミックス接合体の創生 -
参加学生 募集中 教員メールアドレス ""を"@"に hasegawa-makoto-zyynu.ac.jp 定員 各学年1名 資料(PDF) download テーマ概要 ZrB2やTiB2は融点が高く、比較的密度が低い耐酸化性を有する材料であり、超高温耐熱セラミックス(UHTC)として注目されています。そのため、セラミックス基複合材料(CMC)で構成される宇宙往還機の大気圏再突入用部材や超音速機のノーズコーンや前縁における耐熱および耐酸化コーティングとしての適用が検討されています。これらの用途においては、短時間ではあるものの極めて高い高温環境に耐えることが求められています。
これまでもスパークプラズマ焼結など、様々なプロセスを利用した超高温耐熱セラミックスの作製が試みられてきました。しかし、ZrB2やTiB2の融点は3000℃以上ととても高く難焼結材料のため、融点を低下させるMoSi2などの焼結助剤を混合して、ようやく焼結体を得ている状況でした。また、相対密度は90%程度と十分に緻密とはいえませんでした。さらに、これらの材料は宇宙往還機の大気圏再突入用や超高温で用いられる溶融炉用の耐熱・耐酸化保護皮膜としての利用が検討されているため、基材との接合技術が求められていますが、現在の手法は、高温下でのろう付けや金属層との反応による接合層を介した方法のみです。高温での接合は基材の劣化を招くため、低温での基材の劣化を招かない接合技術が求められています。
本研究では、超高温耐熱セラミックス粉末を基材上に直接成膜し、基材と膜の間に接合層をもたない接合体をエアロゾルデポジション(AD)法により創生することを試みます。焼結助剤無しで作製される緻密な超高温耐熱セラミックスにより高温における耐酸化性などの熱的安定性が向上した、かつ、破壊の基点となりうる接合層を有しない、界面剥離抵抗が向上した新規の超高温耐熱セラミックス接合体を実現させてみませんか。
履修済みであることが望ましい科目 材料学入門、材料力学、機械加工実習(履修する予定で構いません。) 必要スキル 特に無し - 廣澤渉一 教授
3D積層造形用高ヤング率アルミニウム合金の開発 -
参加学生 募集中 教員メールアドレス ""を"@"に hirosawaynu.ac.jp 定員 各学年1名 資料(PDF) download テーマ概要 金属積層造形法(Additive Manufacturing: AM)は,素材となる金属を一層ずつ積み上げて成形することで複雑形状を作り出せる方法であり,「金属3Dプリント」などとも呼ばれている。素材から製品形状を削り出す切削加工では作製が困難な製品も製造でき,形状設計の自由度やCADデータの利用による短納期,多品種少量生産対応のメリットを背景に,航空機や自動車などの産業分野における軽量化部品,熱制御部品としてアルミニウム合金にも適用がなされている。特に,金属間化合物が多量に晶出する高濃度アルミニウム合金は,優れた強度や弾性定数を有するものの伸びが小さく,加工性も劣るため従来の方法では製造が困難であり,105-106℃s-1という非常に速い冷却速度で凝固させる金属積層造法の適用が期待されている。
そこで本研究では,高い強度と弾性定数を有する積層造形用新規アルミニウム合金を開発するために,種々のAl-X二元合金(X=Fe, Si, Cr, Mn, Mg)およびそれらを組み合わせた三元合金ガスアトマイズ粉末を作製し,積層造形法や熱間押出法によってバルク化した試料の機械的性質(0.2%耐力や引張強度,破断伸び,ヤング率,剛性率など)を評価する。さらに,対応する微視的組織(母相中の残留固溶溶質濃度や第二相の種類,体積率の違いなど)と比較することで,本系合金の機械的性質に及ぼす合金組成ならびに固溶・析出状態の影響を明らかにする。
履修済みであることが望ましい科目 熱力学、金属組織学・演習I(ただし、新2年生は来年履修すればOKです) 必要スキル 特になし その他 他大学の教員や学生、企業の研究者と議論する機会が多くあります。世の中の役に立つ材料を創製し、ものつくりを通してぜひ自分の世界や能力を広げて下さい。 - 向井剛輝 教授
高効率量子ドット超格子太陽電池の研究 -
参加学生 募集中 教員メールアドレス ""を"@"に mukai-kohki-cvynu.ac.jp 定員 各学年1名 資料(PDF) download テーマ概要 本研究室では、70%以上のエネルギー変換効率が理論予測されている量子ドット超格子太陽電池を、コロイド型量子ドットで実現する研究を行っています。量子ドット超格子とは、高均一な量子ドットを3次元的に最密充填した構造です。コロイド型量子ドットとは、フラスコ中で化学合成によって作製する直径5nm程度の半導体ナノ結晶のことです。これまで精力的に研究されてきたエピタキシャル型量子ドットを用いた超格子膜の製造方法では、結晶の無転位化と量子ドットの均一化が限界に達しており、ブレークスルーが求められています。我々は、コロイド型量子ドットを溶媒中でテンプレート上に沈降させて3次元配列させ、量子ドット超格子を作製する技術を研究しています。これまで良好な量子ドット超格子膜を試作し、性能を実証してきました。ROUTEでは、このコロイド型量子ドット超格子を用いて、世界を変える可能性があるほど超高効率な太陽電池を実現するための研究を、手伝ってくれる人を募集します。グローブボックスなどを用いた太陽電池の試作や、最適構造を設計するための理論計算などを手伝ってもらう見込みです。 履修済みであることが望ましい科目 特になし 必要スキル 特になし その他 現時点で関連分野の知識を全く持っていなくても、学んでいく意欲さえあれば大丈夫です。積極的にやる気のある人を募集します。 - 大竹 充 准教授
エネルギーに関わる磁性材料の形成技術および評価に関する研究 -
参加学生 募集中 教員メールアドレス ""を"@"に ohtake-mitsuru-ytynu.ac.jp 定員 各学年1名 資料(PDF) download テーマ概要 ① Society 5.0時代のキープロダクトとなる
電源自立型ワイヤレスIoTセンサを実現させる磁歪式振動発電デバイスに関する研究
振動発電デバイスを搭載したワイヤレスIoTデバイスの適用可能範囲は多種多様であり、普及による産業的および社会的波及効果は大きい。例えば、工場の微小振動を伴う機器の温度等のオンライン監視、リモコンの電池フリー化、トンネル内壁や橋などの構造物の異常応力検知による事故防止、大雨や地震などに伴う土砂の微小移動検知による災害発生の予兆通知、養殖漁業における波力駆動型振動発電とセンサを活用した生育環境や育成状況の自動監視、などが可能となる。本研究では、磁歪式振動発電に適する磁性材料の開発、デバイスの設計と試作、もしくは、デバイスに適用可能なめっき法もしくはアークプラズマ蒸着法による厚膜材料形成技術の構築を行う。
② 次世代電動モビリティ普及のために、モータの高効率化を可能とさせる
低損失エネルギー変換材料に関する研究
地球環境保全のために自動車をはじめとするモビリティの電動化が進められており、モータの磁気コアで生じるエネルギー損失の低減が求められている。本研究では、高効率電磁変換特性(省エネルギー)と耐環境性能(低振動、低騒音)を併せ持つアモルファスFe-Bもしくは結晶Fe-Al系合金モータ用磁気コア材料の開発を行う。
③ 情報機器の低消費電力化からモバイル端末の充電頻度低減まで可能とさせる
電子スピンを利用したメモリ材料に関する研究
現在、メモリには半導体の揮発性メモリ(情報維持のために電力が必要)が用いられているが、磁性体を用い、電子の電荷ではなく、電子スピンを活用した不揮発性メモリ(情報維持のための電力が不要)に置き換えることができれば、モバイル端末などの超低消費電力化を実現させることができる。本研究では、スピン注入型磁気抵抗メモリの記録層に適用可能な準安定Mn系合金の材料形成技術に関する研究を行う。
履修済みであることが望ましい科目 「基礎結晶学」を履修中、もしくは、履修済みであることが望ましいが、必須ではない。 必要スキル モノづくりに興味があること - 田中良巳 教授
ソフトマテリアルの観点から見る樹木の形と変形 -
参加学生 募集中 教員メールアドレス ""を"@"に tanaka-yoshimi-vmynu.ac.jp 定員 各学年1名 資料(PDF) download テーマ概要 樹木,とくに,枝葉の部分の振動モードの解析をするとともに,各部位の粘弾性測定をおこない,振動減衰の機構を実験的に明らかにする.
研究の学問的背景は以下の通りである.木のデザイン(外部形態および組織)は,その出現以来数億年にわたる進化の産物であり,自重を支える力学構造としても,また,水分や養分を個体全体に配分する輸送系としても,理にかなったものである。特に,枝は木の形に地表に沿う方向への広がりを与え,それから発生する葉たちが全体として効率的に光を受けることを可能とする。 一方で,こうした枝葉の有り様は,雨・風・雪などによる余剰の力学的負荷を枝自身や幹に強いることになる。各個体の非常に長い寿命を考慮するならば,木のデザインにはこうした長期にわたる力学的擾乱を上手に受け流すことで,疲労破壊による倒壊等の致命的な事象を回避する秘訣が備わっている事は確かであろう。
こうした木のデザインの力学的意義を,従来の関連研究におけるような構造力学的視点に加え,「枝構造のネットワーク解析」,「枝ごとの振動モードの違いとその相互作用」,「粘弾性体としての葉部の粘弾性特性」をキーワードに探求する.
- 梅澤 修 教授
Damascus鋼模様の再現 -
参加学生 募集中 教員メールアドレス ""を"@"に umezawa-osamu-fvynu.ac.jp 定員 各学年1名 資料(PDF) download テーマ概要 Damascus刀は、その特徴的紋様で知られる。その原材料であるDamascus(wootz)鋼の研究は、Michael Faradayか取り組んだことでも知られる。彼が電磁誘導の法則を導く前のことである。
Damascus鋼の模様はその内部組織を表しており、現代のDamascus鋼では鋼と鍛鉄の棒を束ねて鍛接して人工的には模様をつくり出している。しかし、古来のDamascus鋼の模様は、溶けた鋳鋼がゆっくり凝固するとき、低炭素濃度の鋼が初晶(樹枝状晶)となり、高炭素濃度である残留融液が樹間に固化したと考えられている。
本研究は、摩擦圧接および鋼を鋳鉄で鋳ぐるんだ鋼片を用い、繰り返し加工熱処理による「高炭素濃度/低炭素濃度」からなる多層組織の形成と組織形態について検討する。
履修済みであることが望ましい科目 金属組織学Ⅰ - 大野 直子 准教授
ODSフェライト合金の粒界ピン止め効果の解析 -
参加学生 募集中 教員メールアドレス ""を"@"に oono-naoko-yhynu.ac.jp 定員 各学年1名 資料(PDF) download テーマ概要 酸化物分散強化(ODS)フェライト合金は、フェライト系であるにもかかわらず、~1000℃の高温でも使用可能な革新的材料です。ODSフェライト合金の特性の鍵となるのは、材料中に数nm~十数nmのサイズで緻密に分散された酸化物粒子です。ナノ酸化物粒子は高温でも安定で、原子炉のように絶えず中性子が材料中の原子を叩き出すような過酷環境でも、合金中へ溶け出すことなく残っています。このような安定な酸化物粒子が転位の運動をピン止めすることで、ODSフェライト合金は高温で優れた強度・クリープ特性を発揮します。
金属材料中にナノ酸化物粒子が分散されていると、ナノ粒子の結晶粒界ピン止め効果によって相変態温度や再結晶温度が変化します。再結晶や相変態は、材料加工後の組織制御のために一般的に利用されています。しかし結晶粒界が動きづらいODS合金にとって、加工後の組織制御手法の確立は大きな課題です。研究では、α-γ変態を伴ういくつかのODS合金について変態・再結晶温度の調査や微細組織解析を行い、非ODSの参照材と比較することで、酸化物粒子が変態や再結晶に及ぼす影響を解析していきます。
履修済みであることが望ましい科目 熱力学 基礎結晶学 材料熱力学 金属組織学・演習I 結晶強度学 X線結晶構造解析 ※未履修の場合は都度レクチャーします。 必要スキル Microsoft Excel, Powerpoint その他 実験室に来て手を動かす作業が多くなります。安全に配慮した服装が必要です。
研究全体を通して、有効数字の概念が身についていることが求められます。
- 中津川 博 准教授
熱電素子の合成からpn素子の作製、及び、その熱電性能評価 -
参加学生 募集中 教員メールアドレス ""を"@"に nakatsugawa-hiroshi-dxynu.ac.jp 定員 各学年1名 資料(PDF) download テーマ概要 異種金属や半導体セラミックスなどのp型材料とn型材料を直列に結合した素子を熱電素子と云います。熱電素子は、熱を電気に直接変換するゼーベック効果と電流を流して一方向に冷却/加熱するペルチェ効果を特徴とします。熱電素子の魅力は、構造が単純で小型軽量、機械的な駆動部分が無く静謐であり、出力電流密度が大きいという利点が挙げられ、石油・石炭・ガスなどの一次エネルギーの内、環境に放出されている66%の廃熱を回収する技術として注目を集めています。特に、廃熱の多くは40~200℃の中低温の熱エネルギーであり、現状の技術では再利用困難とされ、廃棄されているエネルギーを熱電素子で電気に変換し廃熱の一部を再利用する技術は、持続可能社会を構築する上で鍵になると考えられます。ROUTEの研究では、実際に原材料から熱電素子を合成し、二対のpn素子から構成される熱電変換モジュールを作製して、下図に示す通り、その熱電性能の実験値と理論値を比較検討して性能評価します。 履修済みであることが望ましい科目 固体電子論, 統計物理学, 電磁物性 必要スキル 座学講義、あるいは、学生実験で身に付けた技術・知識のみで十分。 - 中尾 航 教授
自己治癒機能を含めた先進セラミックス材料に関する研究 -
参加学生 募集中 教員メールアドレス ""を"@"に nakao-wataru-hyynu.ac.jp 定員 1名(1年のみ) 資料(PDF) download テーマ概要 セラミックスは素材劣化が少なく, 耐薬品性に優れるといった特徴がある反面, 靭性が低く割れやすいという欠点があり, 便器などの陶器部材に傷が入ると容易に破壊に至ります. ユーザでも施工が可能な常温での自己治癒が可能になれば, 耐久性が向上し, 巨大な市場にイノベーションをもたらすことが可能です. それだけではなく, これまで応用できなかった部材に用いることが可能になり, 骨折を治すことができる革新的な生体材料や, 自動車でいえば車体自体にすら用いることができるようになると期待できます.
これまでの研究では,セメントの水和反応を用いて常温での自己治癒機能の発現機構を解析してきました.その中で速度論の観点の必要性が見えてきました. 材料の強度回復が生じるには,欠陥の少ない生成物が生じる必要があります.高温では,反応速度が極めて早いため,正反応により生じた濃度ムラが,逆反応により速やかに解消される.しかし,常温では反応速度が遅く,濃度ムラを保持したまま次の反応が進み,強度欠陥につながります.(Fig. 1)
速度論の観点を導入し,より詳細にモデル化することで,これらの競合関係のバランスをとるという,自己治癒材料の新たな設計指針の構築が可能となります.
履修済みであることが望ましい科目 高校化学・材料学入門 必要スキル 特にありません.